睡恋─彩國演武─


「そうだね。月読の言う通りだ。……変な事を訊いたね。ごめんなさい」


『別に良いさ。一つ言うなら、私にはお前が必要だぞ。お前以外は月魂を扱えないからな』


「──ありがとう」


月魂は千霧の気持ちを受け取ったように光を帯びた。

鞘から抜くと、研きぬかれた刃に自分の顔が映る。

あまりに覇気が無さすぎて、笑いを誘った。


「くく……っ。これが今の私、か……」


情けない。

情けなくて、涙が出そうだ。

感情の高まりが抑えきれない。

千霧の笑い声は、しだいに嗚咽へと変わっていった。

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