睡恋─彩國演武─

今度は、逃げるのではない。

自身と向き合うために、一度振り出しに戻ってみるだけだ。


「──だから、戻る。理由は何となく知っていた。私が皆を信頼することに変わりはない」


その言葉に、偽りなど欠片もなかった。

あるのは本心のみ。


「──それじゃあ、僕達はその信頼に応えなくちゃね」


「ええ。今回は藍の言う通りです」


珍しく意気投合している藍と呉羽に、由良は苦笑した。


(何だかんだ言って、俺は振り回されただけみたいですね……)

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