睡恋─彩國演武─
由良がため息を吐きかけた瞬間、心でも読んだように藍が口を開く。
「由良、よくできました。助かったよ、本当」
頭を撫でる優しい感触に、痺れそうになった。
──初めてだ。
心から嬉しい、というのは、多分このことなのだろうと、由良は思った。
主に頭を撫でてもらって、誉めてもらう。
そんな当たり前の喜びを、今まで知らなかった。
「──はいっ」
嬉しそうに笑う由良に、藍は少し驚いたような顔をして、それから微笑んだ。