睡恋─彩國演武─

「……ぶっさいくな顔」


彼からすれば、それは照れ隠しだったのかもしれない。


「ぶ、ぶさいくって!」


顔を赤らめて怒る由良を、呉羽が制す。


「まぁまぁ由良、藍は照れているんですよ。素直じゃないんです」


「アンタ、余計なお世話なんだよ!──ったく。千霧、猫には躾が大事だからね?」


「え……」


思わぬ所で飛んできた火の粉に、千霧は狼狽する。


「千霧様、鳥はくちばしを縛っておくと安全ですよ」

「ええと……」


両側から迫る不穏な気配に、千霧は笑顔をつくる。


「あ、あぁそうだ!猫はすぐ噛みつく癖を治して、鳥はつつき癖を治したら……いいんじゃないか?」


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