睡恋─彩國演武─
「力の暴走か、あるいは龍としての覚醒か。どっちにしてもまだ危険すぎるね」
藍はちいさく舌打ちして、爪を噛んだ。
そうして沈黙が続いた後、張り詰めた空気が変わる。
「──とにかく、朱陽へ向かいませんか?」
そう言ったのは由良だった。
「目的地で待った方が会える可能性が高いと思います。何より、皇に頼めば彩國くらい簡単に捜索できますし……」
「さすが、賢いですね。私も賛成です。千霧様の故郷ですから、迷わないでしょうし……藍はどうですか?」
呉羽に問われ、藍は素直に頷いた。
「それでいいよ。ここに居ても埒があかないからね」
三人は、同じように千霧を心配している。
それは、それぞれが何らかの形で千霧に救われていたからだ。
彼らは口数も少ないまま、朱陽へと向かう決意をした。