睡恋─彩國演武─
何かが焼ける、嫌な匂い。聴こえるのは人々の叫びと異形の聲。地上は想像よりも遙かに酷い有り様だった。
「ここが……禍獄……?」
目を疑った。街は燃え尽き、辺りを照らすのは真っ赤な業火だ。
天夢が唸り声を上げながら辺りを警戒している。
「──もともと禍獄は治安が悪かったんだ。王の統治が無いからな」
「王の統治がない?」
千珠は顔をあげた。珀は、この状況下で平然としている。
「この国は四宝でありながら王家が途絶えた。もはや国家として機能していない」
「──ならば新しい王を迎えることは出来ないのですか?これでは……あまりに……」
「四宝っていうのは、他と違って特別だ。選ばれた者しか王になれない。愚鈍な王を戴けば、またすぐにこうなる。王の資質を持つ者が現れるのを、待つしかないさ」