睡恋─彩國演武─
珀が言い終えた時だった。絹を裂くような悲鳴が、禍獄全体に木霊した。
「今のは……」
珀よりも早く、千珠は声のした方へ駆け出していた。千珠の足を動かすそれは、衝動に近いものだった。
声は森の中から響いている。火の回りが速い。生きている者が居るのなら、助けなければ。
「何処だ……!?」
ドクン、と身体の中心が揺れた。
真っ赤な業火の中、黒い塊が見える。その塊の中心が、やけに輝いている。
「助けて!殺さないで!」
はっきりと聞こえた声は、塊の中から聞こえていた。
もう一度、身体の中心が揺れた。
「ッ!?」
気が付くと、目の前に異形の群れがあった。千珠は剣を固く握ると、躊躇なく飛び込んだ。