睡恋─彩國演武─

くしゃ、と自分の髪を掻き、嫌悪した。

(莫迦な……千珠を欲情の対象になど……!)

部下、それも男。
高貴と誇りをもつ珀には、それは許されない感情だった。


「珀様?」

「すまない……」

「えっ?」


ふらりと立ち上がり、珀は千珠の声も聞かずに部屋を出ていった。

千珠はただ一人、様子のおかしな珀の身を案じながら、残された茶器を見つめていた。





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