睡恋─彩國演武─





珀から癸火の当面の世話を任された千珠は、彼に礼儀作法や王宮での振る舞いを教えていた。


「そうだな……珀さまは堅苦しい方じゃないから、儀礼の場以外では好きに呼ぶと良い」

「た、例えば?」

「……兄さま、が妥当じゃないか?」

「兄さま……」


癸火は覚えがよく、理解力に優れていた。

礼儀作法は一通り教えたが、吸収が速いのかすでに身に付いている。


すっかり千珠になつき、言うことも素直に聞いた。


「そういえば、お前は武術の心得はあるのか?」


千珠の質問に、癸火は首を振った。

< 311 / 332 >

この作品をシェア

pagetop