睡恋─彩國演武─





光が妙に目にしみる。

「……千霧様!」

寝台から体を起こそうとすると肩に鋭い痛みが走った。

「痛……!」

「あ、駄目ですよ、無理に起き上がっては。まだ治ってないんですから」

あわてて制止する呉羽に、寝台へと戻される。

いつの間にか肩から胸にかけて包帯が巻かれていて、少し血が滲んでいるのが確認できる。


「兄様に……斬られた所か……」

無意識のうちに、包帯の上から怪我に触れていた。


「兄様はどこに……?」


「紫蓮様は千霧様より回復が早かったので、今は自室でゆっくりしていると思いますよ」


「そう……。会って、くれるかな……?」


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