空のギター
「……俺と一緒だ……」



 紘が光夜を見て呟く。四人は驚いて、紘を見つめた。



「俺、小3の時に、事故で両親が居なくなったんだ。その時は本当に、もう生きていけないって思ってた。
……でも、俺には弟と妹が居るんだ。今は“俺がこいつらを守らなきゃ”って、そう思ってる。」



 紘はいつもの可愛らしい笑みからは想像出来ない、真剣な目をしている。そんな彼を見て、雪那が尋ねた。



「紘、今は三人で暮らしてるの?」

「ううん、じーちゃんとばーちゃんも一緒だから五人暮らしだよ!
……あ、俺らも五人グループだから、何か家族みたいだね!俺ん家みたい!!」



 紘は嬉しそうに笑った。オレンジの髪がキラキラと輝いて、本当によく似合っている。



「紘は明るくて良いな。俺、先月上京したばっかりなんだけど……一人暮らしって意外とつまんないし寂しいし。今度誰か泊まりに来てよー……」



 光夜が溜め息混じりに言うと、紘は「えっ!?じゃあみんなで泊まりに行こうよ!!」と叫ぶ。「一人暮らしの部屋のスペース考えろよ」と笑う風巳の言葉で、紘は「ごめん」と苦笑を洩らす。室内の空気が、少しだけ柔らかくなった。
< 30 / 368 >

この作品をシェア

pagetop