私の王様

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「‥‥ね、眠い‥‥」
「昨日、何かあったの?」


午前中の講義が終わり、大学の食堂で親友の美香(ミカ)と昼食を取るが、眠さのあまり好物のオムライスもほとんど減っていない。


「‥‥いや、何も」


社会人の御曹司とお見合いしてました――‥なんて言えるはずもなく。
昨日ほとんど眠れなかった、などと零してしまったことを心底後悔する。


「へー。何かあったんだ」


オムライスに夢中なふりなんてこの友人には通用しないらしい。


「で、何があったの?」

吐きなさい。


と言ってるであろう美香の笑顔が若干怖い。


視線をさりげなく逸らしてすっとぼけようと試みる。
ひ、冷や汗が‥‥


「とーこちゃん?早く吐いちゃったほうが楽よ?」


にこにこにこにこ――――


「‥‥じつは‥‥」


美香の笑顔に勝てたことは、ない‥‥











「あら、私の知らない間にそんなおもしろいことがあったのねぇ」

「どこらへんがおもしろいの‥‥」


洗いざらい吐かされた後の親友の第一声にぐったりとする。


「おもしろいじゃない。‥‥彼も、苦しいわね‥」

「え?」


ぽつり、と後半は小さな呟きとなって聞き取れなかった。



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