俺様上司は、極上の男!?
でも、確かあのシューズは……。


「限定発売扱いでしたよね」


小花が引き取っていう。露天風呂の岩に首をもたせて。
メグ子さんが「そうなのよ!」と息も荒く答える。


「本社側は傍目にもシューズがヒットしたのに、工場閉鎖を撤回しなかった。工場側との約束を反故にしたの。そもそも上層部はハナから決定を覆すつもりはなかったのね。ヒット商品ひとつで工場を存続させるほど赤字補填はできないと踏んで、さっさと限定生産の広告を打って、工場の閉鎖を決めたみたいよ」


「へー、本社にいるとわかんないッスね、そういう話。汚いな、役員のオッサンたち」


「千葉工場は8月で閉鎖。パートと契約社員は全員解雇。ほとんどの社員がリストラだって。唯一本社に戻されたのが、一番若手で今回の功労者の櫟課長よ」


「それってどういうことですか?」


思わず食いついた聞き方をしてしまう。
本社に戻されたのが櫟課長だけだなんて。


「ミサキガワブランドのシューズは実質廃盤になったとはいえ、最後の最後に全盛期に負けないヒット作を産んだ。担ったのは櫟課長。会社としては論功行賞でしょ?」
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