俺様上司は、極上の男!?
「でも、酷だよね。自分たちを裏切った連中のところで、叶うかわからないミサキガワシューズの復活を期待しながら仕事をするなんて」


メグ子さんの話を聞きながら、頭の奥で符号が一致していくのを感じた。

だから、課長は千葉工場の話をしたがらなかったんだ。
聞いてもごまかすような態度をとったのは、進んでしたい話じゃなかったから。


『俺にそんな資格はない』


櫟課長は、責任を感じているのだろうか。
自分ひとり本社に戻り、他の社員やパートを救えなかった負い目が彼を縛っているのではないか。

彼が本社で気配を消しているのは、心がまだそのことに囚われているから。

亡霊なんだ。
かつての仲間の夢や希望を背負って、今をやり過ごす亡霊なんだ。

叶うかわからない夢のため、自分を殺して会社に残った櫟課長。


「恋愛なんて浮ついた気持ち……なれるはずないよね」


脱衣所に戻り、ひとりごとのようにつぶやいた。
メグ子さんにも小花にも聞こえないように。
涙が出そうだ。私に付け入る隙なんてありそうもない。

……だけど、私の気持ちもまだ葬り去ることなんかできない。









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