俺様上司は、極上の男!?
「引退した俺が言うのも何だけどよ」


振り返って見ることはできないけれど、席を取っていた男性の声だろうか。この男性は一番年嵩に見えた。


「こいつら、頑張ってんだ」


「佐久間工場長……」


櫟課長がその人を呼んだ。年嵩に見えた男性は、課長の元上司である工場長のようだ。


「おまえに本社に戻るのを勧めたのは俺だけどさ。考えてみたら、鬼千匹のところにぶち込んで頑張ってこいなんて、ひどい話だったよな」


「そうよ、工場長。だって、本社側はミサキガワブランドの復活なんか考えてないのに、櫟くんを手放したくないから本社に引き抜いたんでしょう。そんなアテもない話で櫟くんを縛るなんてひどすぎます」


中年のご婦人が憤慨した声音で言う。
最初に口を開いた50代の男性の声が言った。


「櫟くん、きみに若いんだから本社に戻れなんて、勧めた僕たちを許してほしい。嫌な人間たちの中で働くきみの苦しみなんか考えなかった。きみは千葉工場の想いを背負ってミサキガワに残っているんだろうが、そんなに無理しなくてもいい。……僕たちの会社は、一応僕が代表を務めてはいるけれど、『社長』はまだいないんだ」
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