俺様上司は、極上の男!?
「そうだったんですか。……あの、いいんですか?」


そんなにあっさり断ってしまって。
彼からしたら、馴れ親しみ共に本社と戦った同士と新しい事業に携われた方が楽しいに決まってる。


「俺が千葉工場から本社に来た経緯は知ってるか?」


「……だいたいは。中尾さんの話を河野さんから聞いたっていう又聞きの状態ですけど」


「じゃ、それで合ってるよ。俺は200人の生活を犠牲にして、今本社にいる」


「だけど、それは……」


櫟課長のせいじゃない。
本社が約束を反故にしたことに問題がある。


「俺の責任だよ。新製品程度で工場にかかる経費を捻出できるのかなんて、最初から疑わしかったさ。なのに、本社のでまかせに乗っかって、工場全体を扇動したんだから」


「櫟課長は、なぜまだミサキガワにいるんですか?自分を裏切った人たちの下で仕事をするのはつらくないですか?さっきの人たちとの方が……」


先ほど会った彼ら。
櫟課長の元同僚の人たち。

あの人たちとなら、櫟課長は生き甲斐とやり甲斐を持って、仕事できるんじゃないだろうか。


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