俺様上司は、極上の男!?
「あの人たちは先輩であり、古い大事な仲間だ。一緒に仕事したくないなんて言ったら嘘になる」


「それなら、なぜなんですか」


引き止めた私が言うのもなんだけど、せっかくの誘いを断るなんて。


「たぶん俺も意地っ張りなんだろうな」


意地っ張りという、いつも言われる自分への評価にどきりとする。


「工場長や社員のみんなは、『おまえは若い。本社に戻って新しい仕事をしろ』なんて送り出してくれたけど、俺の頭にあるのは違う。
俺を支えているのは、後悔でも希望でもない。どうにもならない真っ黒な復讐心。俺たちを追い落とした連中を見返して踏みつける。それができる位置までのし上がる。……この想いは簡単には消えない」


復讐。その言葉を口にした櫟課長は暗い炎を瞳に宿していた。
明るい春の陽光には不似合いな。


「みんなはそんなこと望んでない。むしろ、こうして新しい事業にも誘ってくれる。だから、これは俺の意地なんだ。
勝手で独りよがりな意地」
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