腹黒王子の取扱説明書
銀座のママだけあって年齢不詳だな。

「黒服に呼ばせても良いけど、直接呼んだらいいわ。王子さまには特別に許すわよ」

俺の顔を見てママがふふっと笑った。

この人……何を企んでるのか知らないが面白がってる。

麗奈が困ってるのを見ても放置していたし。

俺があの中年男を殴りたくて仕方がないのをお見通しだったのかもしれない。

それに、俺がここに来るのをなぜか確信していたように思う。

考えてみれば、いくら高い酒を頼んだからとはいえ、店の従業員をやすやすと手渡すだろうか?

麗奈とここで会った最初の夜もママは俺にやけに協力的だった。

麗奈の方に歩き出すと、ママは俺の背中に向かって言った。

その声に宿るどこか優しい響き。

「あの子に解けない魔法をかけてやって」

……解けない魔法?

何だよ、それ。

俺に勝手な期待をしないで欲しい。
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