腹黒王子の取扱説明書
「お前ならホントにやりそ。まあ、落ち着けよ」

「十分落ち着いてるよ」

「中山さんをあんまりいじめるなよ。すぐに逃げられるぞ」

「そんなヘマはしないよ」

フッと笑ってみせると、ドアのノックの音がした。

麗奈が来たか。

「はい」

返事をすると、トレーにコーヒーを乗せて麗奈が入ってきた。

顔は仏頂面。

俺へのささやかな抵抗だろうか?

だが、これだけあからさまだと吹き出しそうになる。

「おはようございます」

ぶっきらぼうに言って、俺のデスクにコーヒーを置く。

「遅かったね。あと五分で始業時間なんだけど」

ちょっと意地悪したくなってわざと腕時計に目をやり、嫌味を言ってみる。

「……すみません。総務の方でいろいろあったもので」

怒りを必死に抑えているのか、麗奈が唇をぎゅっと噛み締める。
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