腹黒王子の取扱説明書
そんな彼女を見て自分も少なからずショックを受けた。

泣かすつもりはなかった。

苦い思いが胸に広がる。

「お前って案外不器用だな。なんか、見ていて痛々しいぞ」

「煩いよ」

知らず冷たい声になる。

「女の扱い方、俺がレクチャーしようか?」

須崎が俺をからかってくる。

「調子に乗るな」

「自分のものにしたいなら、もっと優しくしろよ。嫌われてどうすんだ?彼女に恨みがあるわけじゃねえだろ?」

「恨み……」

そう呟いて俺は黙り込む。

彼女に対してそんなものはないが、彼女の顔を見るとどうしても冷たい態度をとってしまう。

俺の演技ももう通用しないし。

「お前……相当重症だな」

須崎が哀れむような目で俺を見る。
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