腹黒王子の取扱説明書
でも、私には彼の個人的な事情なんて関係ない。

知りたくもない。

「……興味ありません」

私はスマホの写真から顔を背け、じっとマグカップを見つめる。

「そう?」

前田先生はスマホを白衣のポケットにしまうと、私の顔を見ながらちょっと首を傾げてみせる。

「仕事の上司というだけですし、彼が何か宴会芸でもやるなら見てもいいです」

「ははっ。それは良いね。俺も是非見てみたい」

前田先生が腹をかかえて笑う。

「……でも、あの顔でクールにトランプの手品でもやられたらムカつくかも」

俊は何でもそつなくこなしそうだし……。

「それは一発殴りたくなるな」

前田先生がニヤッとし、衝立の向こう側に目をちらりとやる。

「それはごめん被るね」

不意に聞こえた意外な人物の声。
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