腹黒王子の取扱説明書
ああ、風邪って厄介だな。

「からかうからですよ。口に合わなくても食べて下さいね」

「……だったら食べさせてよ。熱いの苦手なんだよね」

わざと我が儘を言うと、麗奈はフーッと溜め息をついた。

「この駄々っ子」

麗奈は上目遣いに俺をちょっと睨み付けると、レンゲを手に取ってお粥をすくい、ふうふうして俺の口の前に運ぶ。

てっきり断られると思ったのに……。

目の前のレンゲを数秒凝視し、パクッと口にする。

……塩加減もちょうど良くて食べやすかった。

「どうです?」

麗奈が不安そうに俺の瞳を覗き込んで聞いてくる。

「美味しい。もっと」

素っ気なく言いながらも催促すると、麗奈は破顔してまたレンゲを俺の口まで運ぶ。

こういうのいいかもしれない。

身体は楽じゃないが、このやり取りが俺には新鮮でちょっと楽しかった。
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