腹黒王子の取扱説明書
母親は母性の欠片もなかった人だし、こんな風に人に食べさせてもらった記憶はない。

義理の母はいい人だけど、甘えた事などない。

家族がいなくても平気だと思っていたけど……。

「ほら、この大根おろしも食べると喉がスッキリするんですよ」

麗奈が俺の口にスプーンを運び、言われるがまま俺は口にする。

確かに、大根おろしを食べると喉ごしがいい。

のど飴をなめるよりいいかもしれない。

まあ、大根おろしは携帯できないけど。

全て完食すると、手際よく薬を出された。

「市販薬ですけど。今日ちゃんと病院行ってきて薬処方してもらって下さいね」

「そんな時間ないよ。十時には来客だし」

病院に行ったら半日終わる。時間の無駄だ。

「そんな身体で出社するつもりですか?」

俺の言葉に麗奈が目を丸くする。
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