腹黒王子の取扱説明書
多分、今日は休むと思ったのだろう。

だが、熱は下がったし、休んでなどいられない。

「仕事投げ出す訳にいかないでしょ?」

「須崎さんがいるんですから任せたらいいじゃないですか」

「今日はジュピターの社長が来るんだ。外せないよ」

「昨日は看病しなきゃ会社休むとか言ってたのに。すぐに治りませんよ」

「気力で治すよ」

俺がフッと笑うと、麗奈は呆れた顔をした。

「気力って……。あなたは馬鹿ですか‼」

「馬鹿って面と向かって言われたのは初めてだよ」

「変なとこ感心しないで下さい。じゃあ、せめて今日はフレックスにして、前田先生に診てもらって下さい。良いですね、約束ですよ」

麗奈が俺を見据えて念を押す。

普通ならうざく思える言葉だが、彼女に言われるとなぜか嬉しい。

「心配してくれるんだ?」

俺は面白そうに麗奈の顔をじっと見つめる。
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