腹黒王子の取扱説明書
安置所の間取りは六畳の和室が二部屋にトイレと浴室と洗面所が一つずつ。

アメニティーも揃っているし、食事が付かないことを除けば旅館と何ら変わらない。

「僕、一旦アパートに戻ります。着替えも何も用意してきてなくて。姉の事、お願いできますか?」

「ああ、大丈夫だよ」

俺は軽く頷くと、側にいる麗奈に目をやる。

確かに、この状態の麗奈を一人にしてはおけない。

ずっと黙ったまま父親の遺体から顔を背け、俺たちとも視線を全く合わせようともしない。

麗奈の弟が部屋を出ていくと、俺は麗奈に向き直った。

「何か飲む?」

優しく声をかけるが、麗奈はただ頭を振る。

「食欲は?」

麗奈はまた頭を振る。

憔悴しきった顔。

こういう場合、どう慰めていいかわからない。
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