腹黒王子の取扱説明書
そもそも他人の事なんて今まで気にしたことがないし……。

ハアーっと溜め息をつきそうになり、慌てて口を押さえる。

「シャワー浴びてきたら?いつまでもスーツだと疲れるよ。浴衣もあるみたいだし、着替えるといい」

「……父の事頼みます」

麗奈がやっと俺の提案を受け入れ、ボーッとしたまま浴室に向かう。

浴室に行ったのも、父親の遺体を見たくないからかもしれない。

俺はその間にスマホを取り出してメールを確認した。

須崎からのメールが二件に、親父から一件。他の仕事関係のメールは須崎が俺の代わりに処理したようだし、慌てて指示を出すものはない。

明日も来客があるが須崎に任せて会社を休むか。

社長も同席するし、心配はいらないだろう。

心配なのは麗奈の方だ。

今の彼女の様子を見ていると放っておけない。

十五分くらいして麗奈が戻ってきたが、彼女の髪はまだ濡れていた。

座布団の上に座り込み麗奈は壁にもたれかかる。
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