腹黒王子の取扱説明書
「俊くんも私にとっては息子同然でね。彼はちょっと女性に対して冷めた見方しか今までしなかったから、麗奈ちゃんに会ったら彼も変われるんじゃないかと思ってね。タイミングよく俊くんもアメリカから帰国したし、俊くんにこの店を紹介した。まあ、俊くんが君に興味を持つかどうかは賭けだったけどね。君の伯母さんも僕も麗奈ちゃんにあの仕事はさせたくなかったんだ」

じゃあ、俊が最初に来店した夜、伯母さんがわざと私に相手をさせたのは俊とくっつけるのが狙いだったの?

「私も君の伯母さんも、麗奈ちゃんが結婚して幸せになることを願ってるんだ。私から見て君達はお似合いだと思うよ。あと二十若ければ私が立候補したかもしれないな」

ははっと園田さんは笑うと、私に向かって軽くウィンクする。

今でも相当モテるだろうな。

「麗奈に会わせてくれた事には感謝しますが、彼女は絶対に渡しませんよ」

社長も園田さんもいるのに、俊が私をぎゅっと抱き締めてくる。

「ち、ちょっと……」

私が小声で抗議するが、俊は離してくれない。
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