腹黒王子の取扱説明書
私は俊に抱き起こされると、そのまま腕を捕まれ専務室を出る。

荷物を取りに行きたいと言っても、彼は秘書室に立ち寄る事すら許してはくれなかった。

会社の前でタクシーを拾い、俊が行き先を告げる。

タクシーの中では、俊は私の手を掴んだままずっと無言。

こういう時の彼は危険だ。

触れたらパクッと指が切れそうなくらい空気がピリピリしてる。

俊の家の中に入ると、彼はやっと口を開いた。

「シャワー浴びてくる。適当にくつろいでて」

スーツのジャケットを脱いでネクタイを外すと、俊はリビングのソファーの上にそれらを無造作に投げる。

そして、私の顔をろくに見ずにバスルームへ向かった。

「適当にくつろいでてって言われても、狼に食べられそうなのにくつろげるわけないじゃない」

ソファーに腰かけるが、どうしても落ち着かない。

仕方なく、俊のスーツのジャケットとネクタイを手に取り、彼のウォークインクローゼットまで行ってクリーニング行きのボックスに畳んで入れる。
< 280 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop