腹黒王子の取扱説明書
「……違うの!そうじゃなくて……」

私はブンブンと頭を振る。

……これはいつものペースだ。

いつもの俊に戻ってる。

俊は私に近づき、身を屈めた。

すると、グリーティーの爽やかな香りが漂う。

俊愛用のシャンプーの香りだ。

世界の高級ホテルのアメニティーにも使用されていて、私もこの香りが好きだったりする。

この香りに包まれるとすごく気分がリラックス出来るし、ちょっと贅沢な気分になってうっとりする。

「二つ家があるなんて不便でしょ?解約して一緒に住もうよ」

悪魔が私を誘惑するように、私の耳元で甘く囁く。

背筋がぞくりとした。

その低音ボイス!

どんだけ武器持ってるんですか。

「だから、同棲は嫌なんですってば!」

リビングに響き渡るくらい大声で叫び、ソファーからバッと立ち上がる。

「同棲はねえ」

俊がそう呟いて企み顔で微笑む。
< 283 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop