腹黒王子の取扱説明書
……なんというか、拍子抜け。

でも、今日アメリカから帰国したんだもん。

そりゃあ疲れてるよね。

日程早めて帰国したし、ろくに睡眠も取ってなかったんじゃないだろうか。

無防備な寝顔。

人差し指で俊の頬をプニッて押してみるが、俊が起きる様子はない。

「可愛い。この寝顔……ずっと独占したいって思うのは欲張りかな?」

俊の寝顔をどれくらい眺めていたのだろう。

緊張が解けてホッとしたのか、瞼がだんだん重くなってきて……。

気がついた時にはベッドの上。

目を開けると薄明かりの中、今度は俊が私をじっと見つめていた。

何だか妖しい雰囲気。

「今……何時なの?」

目をこすりながら俊に尋ねる。

「深夜一時すぎ。お腹空いた」

俊が何を思ったか、カプッと私の耳朶を甘噛みする。
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