腹黒王子の取扱説明書
「俊ばっかり狡い」

少しむくれながらボソッと呟く。

「何が?」

「だって、俊は私が初めてじゃないでしょう?」

これは完全に私の嫉妬だ。

それなのに俊は私を真摯な瞳で見つめ、こう告げた。

「でも、好きな女抱くのは初めてだよ。だからこんなにドキドキしてるし、この俺が緊張してる」

……緊張?

……タクシーの中で無言だったのも、緊張してたから……?

そんな事を考えていると、俊の胸に抱き寄せられた。

ドク、ドクという彼の心臓の音が聞こえるが、彼が認めるように鼓動が早い。

腹黒王子が私相手にこんなに緊張してる。

……何だろう、この気持ち?

俊が人間らしく思えて何だか嬉しい。

私はそんな彼が……愛おしいんだ。

俊をもっと近くで感じたい。

彼が欲しくてたまらない。

彼しかいらない。
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