腹黒王子の取扱説明書
「美月じゃないけど、あのお弁当が食べられなくなるのは寂しいわね」

「……意地っ張りだな。それとも……自覚ないだけ?好きなんでしょう?」

美月が席を外しているせいか、麗奈は珍しく踏み込んでくる。

「兄の友人としては好きよ。優しいもの」

でも……兄同様本心を人になかなか見せないけど。

私は麗奈に向かってクスッと笑って見せる。

「……そういう意味じゃないんだけど。杏子はクールに物事考えるけどさ、もっと熱くなってもいいんじゃないかな?」

「熱くね……。あり得ないわね」

そんなの私じゃない。

恋愛なんて感情に心乱されたくなんかない。

「もう、後悔しても知らないよ」

麗奈がフーッと溜め息をつく。

でも、私は後悔なんてしない。

別れようと思ってたところなんだから……。

想定外だったのは、彼が沖縄の離島に行くって事だけ。

東京にいるはずが沖縄になった。それだけの事。

でも、別れるんなら関係ない。むしろ、会う機会がなくなって好都合。
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