腹黒王子の取扱説明書
それから、仕事を定時で終わらせ、先輩との待ち合わせ場所である会社の裏にあるカフェに向かう。

カフェの扉を開けて店内を見渡すが、先輩の姿はない。

窓際の席に座ってカプチーノを頼み、彼を待つ。

「ちょっと早く来すぎたかな」

店員が持ってきたカプチーノを飲みながら窓の外を眺めていると、こっちに向かって走ってくる彼の姿が見えた。

先輩に向かって手を振ろうとしたが、胸の上で止まった。

女の子が彼を呼び止めたのだ。

淡いピンクのカットソーに白のタイトスカート。

……あれは経理の田崎さん。

田崎さんが頬を赤くしながら、先輩にブルーの花で統一されたブーケを手渡す。

すると、先輩はいつもの笑顔でブーケを受け取った。

……告白だろうか。

学生時代は見慣れていた彼のそんな光景。

でも……なんだろう。

胸の中がモヤモヤする。

二人から目を逸らし、飲んでいたカップの中をじっと見る。
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