腹黒王子の取扱説明書
彼の吐息を感じたかと思うと、柔らかい唇が重なり私は戸惑った。

彼は……悪魔だ。

うちの会社の女性社員は爽やか王子なんて言ってるけど……。

とんでもない。

美しくて、我が儘で、腹黒な悪魔。

自分がどうすれば女が落ちるか熟知してるだけに、彼の存在は厄介だ。

でも、私は溺れるわけにはいかない。

夢は見ない。

どちらにしても、彼となんて分不相応だ。

私は俊の胸に手を当てて、彼から離れた。

「そういうお仕置きは、もっと可愛い子にして下さい。私じゃ楽しめませんよ」

私は俊から目を逸らして、唇を拭う。

私で遊ぶのはやめて欲しい。

私にだってプライドはある。

ホステスのバイトをしてるけど、私は彼のおもちゃなんかじゃない。
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