【完】山崎さんちのすすむくん

声を揃えたのは一見対照的な二人の男。


一つに結わえた髪が良く似合う爽やかな二枚目沖田くんと、割れた顎が雄々しい巨漢の島田だ。


「……奇遇ですね」


仕方なく口許だけを僅かに綻ばせて後ろを振り返る。


そうすれば既に二人の視線は俺の後ろへと注がれていた。


「え、もしかして山崎さんの!?」
「あ、あの時の女子っ!」


……やっぱめんどいことになりよった……。


俺をすり抜けて夕美に群がる二人に頭が痛くなる。


「え、え、あの……?」

「ほら、怯えてるでしょう。此処では邪魔になりますから一先ず出ますよ」


助けを求めるような視線に、俺は男達の衿を引っ張り外へと促すことにした。





「さっきは驚かせてしまってすみません。私は沖田でー」

「俺は島田だ」

「山崎さんにはいつもお世話になってるんですよ! なのでつい興奮してしまいましたっ! で、貴女は?」

「あ、えと、夕美と言います」

「お夕美ちゃんですね! 良い名です! ね?」

「ああ、良い名だ」


なんやねん、自分ら……。


妙に息の合った二人は外でも相変わらずぐいぐい夕美に身を寄せ、俺が口を挟む隙もない。


その勢いに押され、一歩下がった夕美の前に肩を入れると薄い笑みを張り付けた。


「もう良いですね? 折角の団子です、どうぞお早めに食して下さい。では私達はこれで」


早よ去るに限るっ。


夕美の肩をくるりと回して後ろを向かせると、そそくさとその場を立ち去る、


筈だったのだが。


「あ、待ってください!」
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