ハロー、マイファーストレディ!

「はあ?」

最大限の嫌悪感を示すような言葉が、彼女の口から漏れる。
眉間には深く皺が刻まれ、口は静かな怒りにやや震えている。

「いや、もっとストレートに言おうか。」

俺はそんな彼女に一切怯むことなく、堂々と宣言した。

「俺と、結婚してほしい。」

単純に言葉だけを捉えれば、間違いなくプロポーズだ。
だが、俺が発した言葉はそんな甘いニュアンスを一切含んではいなかった。
いつも振りまいている微笑も封印して、ただまっすぐに彼女を見据える。


「何で、私が。」

彼女の眉間の皺はどんどん深くなるばかりだが、その口は、言葉を発したまま、何か言いたげに開いている。
その顔は、驚いているというよりは、呆れているという方が正しい。
彼女が探るような視線を向けてきたところで、俺は今日の本題を切り出した。


「俺の考える結婚相手の条件に、君がピッタリ当てはまるからだ。まず、第一に美人であること。第二に自立した女性で、かつ好感度の高い職業に就いていること。」

俺が挙げていく条件に自分が当てはまっているという自覚がないのか、真依子は首を傾げたまま聞いている。

「そして、一番重要な条件は、女性に好かれるような女性であること。芸能界でも、女性に支持される女優とそうでない女優が居る。条件全てに合った、いわゆる“女ウケ”する女を、俺は少し前から探していた。」

最後の条件が一番納得できないのか、不可解極まりないという表情を浮かべている。

「自覚が無いのか。後輩から随分懐かれてるようだったが。君は男に媚びる感じがまるでないから、それがいいのかもしれない。」

それには、ある程度納得がいったのか、考えるように斜め上の方に視線をずらした。

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