ハロー、マイファーストレディ!
「言ってることとやってることが、ぐちゃぐちゃだ。ベッドで寝ないと疲れが取れないんだろ?」
「いや…」

私はいつもベッドで寝てるから、今日くらいはソファでも大丈夫。
そんな理屈をこねるべきところを遮られた。

「別に構わないだろ。夫婦になるなら、隣で寝ても。」

先程までの渋っていた表情から一転して、急にやる気満々のご様子だ。ネクタイを緩めただけで、シーツと毛布をめくり、ベッドに横たわる。
さすがは、スイートのダブルベッドである。二人で寝転がってみても、全く窮屈ではない。

「ほら、早く寝るぞ。」

ベッドサイドのスイッチで部屋の照明を暗くしたようだ。
征太郎が軽く身じろぎをする。もはや条件反射のように、私の体は固まった。
それに気が付いたのか、彼は大きく寝返りを打って、体ごと私の方を向く。

「宣言したとおり、何もしない。」

馬鹿にしたように笑いながら、こちらを見ている。

「一人で寂しくて寝られないなら、素直にそう言え。」
「なっ…!違うわよ!!」
「なんなら、腕枕でもしてやろうか?それとも、お子さまには、頭をなでる方がいいか?」
「…どっちも要らないわよ!」
「わかったから、早く目を閉じろ。」

二三言、まるでじゃれ合うように言葉を交わしてから、お互いに寝返りを打ち相手に背を向けた。

ひょっとしたら、本当に私が一人じゃ寝られないと思った?

そんな考えが一瞬頭に浮かんだが、再び眠気が襲ってきた為に、私はそれ以上の思考を停止した。

「おやすみ。」

やがて、背中から聞こえてきた言葉をかろうじてキャッチして、私はゆっくりと意識を手放した。
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