ハロー、マイファーストレディ!
「おはようございます。…といっても、もう昼ですね。こんにちは。」
征太郎の言葉の通り、秘書の谷崎さんが部屋にやってきたのは、昼過ぎだった。
朝、目覚めた時には隣で寝ていたはずの男の姿はなく、代わりにベッドサイドのテーブルの上にメモが一枚残されていた。
だから、彼がどのくらい眠れたのかは分からない。
私はよほど疲れていたのか、朝の九時まで爆睡していて、一度も目を覚まさなかったのだ。
“朝食のルームサービスを頼んである
起きたらフロントに連絡しろ”
メモの指示通りにフロントへ連絡すれば、すぐに豪華すぎる朝食が運ばれてきた。
パンケーキにスクランブルエッグ、サラダにフルーツたっぷりのヨーグルト。
ポットから注がれた淹れ立てのコーヒーの横には、搾りたての野菜ジュースまであった。
食事をまともに取れるということは、自分がかなり落ち着いている証拠だ。
私はそのいつもよりかなり豪華な朝食を、長い時間掛けて優雅に完食した。
窓の外には、東京の街が広がっている。
昨夜は、さぞかし綺麗な夜景が拝めたことだろう。
この部屋だって、立派なスイートルームだ。
ふつうに暮らしていたら、一生泊まることなどなかった部屋。
インテリアもアメニティも一級品。
しかし、昨夜の私にはそれらを楽しむような余裕は全くなかった。