恋愛優遇は穏便に
どれぐらい時間が経ったのだろう。

厚いカーテンを引かずにそのままにしていた。

カーテンのすきまからは光の筋が走っているからまだ昼間か。

ぼんやりとしていると、ガチャリと、部屋のドアが開いた。

政宗さんがやってきたんだろうとそのままタオルケットに頭からすっぽりとくるまっていた。

そっと私のタオルケットをはぎとる。

銀色のメガネをかけている。

メガネ、かえたっけとぼんやりしていたけれど、無意識に顔を向けていた。

顔を近づけ、唇にキスをした。感触がいつもと違うやわらかさだ。


「キミ、誰?」


甘く低い声が降り注ぐ。知らない声がした。

一気に目が覚めた。

薄明かりの中、目の前の人をみる。

短髪にところどころ髪の毛がうねっている。

ネクタイを締め、スーツを着ている。

メガネをかけて、鼻筋は通り、きれいに整えた眉毛、きりっとした二重瞼。

美しく端正な顔だった。

政宗さんを少し渋くしたような、そんな顔だ。


「……あ、あの」


「きれいな顔してる。そんな格好してるってことはそういうお仕事の人?」


ネクタイをゆるめ、スーツのまま、その人は私の上にまたがってきた。


「あ、あの」


「そんな顔して挑発してるんだね。抱いてあげるよ」


「だから、あの」


「こういうの初めてなの?」


「ち、違いますって。私は政宗さんの」


「弟の? あ、そういうことか」


そういって残念そうに私から体を離し、ベッドの淵に腰かけた。


「てっきり、そういう子を用意してくれてたかと思ってたよ。そんな格好してるんだから」


「あ、あの弟って今」


「政宗はボクの弟。ボクは兄の政義」
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