恋愛優遇は穏便に
今夜は政宗さんに会えないんだと思うと、急にさみしくなってきた。

信号待ちしているとき、楽しそうに笑いながら歩くサラリーマンとOLの姿をみていたら、すうっと冷たい風が私に向かって強く吹いた。

ぶるっと身震いし、駅まで駆けていく。

駅前の高層ビルにつき、ちょうど来ていたエレベーターに飛び乗った。

目的の階について、会社に続く廊下を歩く。

会社のロゴがみえて足をとめ、ひとつ息をつき、ガラス張りの扉を開けた。

中へ続く銀色のドアを開けると、政義さんがニコリと笑って佇んでいる。


「やあ、むつみチャン」


「政義さん、こんばんは」


政義さんの強い視線に気をとられないようにしながら、自分の席につく。


「まさか3日間も仕事入れてくれるなんてね。助かるよ」


「いいえ」


「せっかくの休日だっていうのに、どうしたんだろうね」


「まあ、いいじゃないですか」


「ふうん。そう。まあいいや。長い時間、むつみチャンを独占できると思うと幸せだよ」


「政義さん」


「それじゃ、今日もよろしくね」


私はパソコンの電源をつけ、しばらくしてからメーラーを立ち上げる。

各部署から仕事の依頼の内容のメールがたくさん届いていた。

メモをとり、仕事の段取りを考えていると、視線が気になり、顔をあげると、政義さんがじっと私をみつめながら、頬杖をついて微笑んでいた。
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