恋愛優遇は穏便に
「こんな簡単な条件のまないなんて、むつみチャン、損だけどな」


「損だなんて。私には政宗さんがいます」


「じゃあ、どうして3日間、仕事入れたのかなあ」


政義さんは目を細めている。

黙っていると、さらにたたみかけてきた。


「政宗、仕事で会えないんじゃない?」


「……それは」


「ほら、やっぱりね」


政義さんは目を大きく開け、わざと大きな声をあげた。


「一人でいると寂しいから、仕事をするってよくある話だし」


「ただちょっとでも仕事をしたいだけです」


「強がり言っちゃって。寂しい者同士、3日間ぐらい楽しんだっていいんじゃない?」


「寂しくなんか」


「ボクはむつみチャンを放っておけないけどね」


流し目をしながら、政義さんが放つ低く響く甘い声が私の体に絡みつく。


「たった3日間なんだよ。一人でご飯食べるぐらいなら、一緒にどうかなって。手軽に考えればいいんじゃない?」


たった3日間。されど3日間だ。

政義さんと行動を共にしたらどうなるか、想像はつくけれど、どうなるかわからない。


「付き合ってくれたなら、キスの件も、むつみチャンのことも諦めてあげる」


「本当に諦めてくれますか? 私のこと」


「うん。諦めてあげる」


イエスかノーか。

ノーと言っても政義さんはきっと首を縦に振らないだろう。

条件で私のことを諦めると大人の対応をしてくれているから、私もそれに応じてもいいかな、と思うようになった。

「……わかりました。3日間だけですよ」


「お、条件のんでくれるんだ。やっぱりむつみチャンは物分かりのいい子だ」


そういうと、政義さんは右手で私の頭をポンポンと叩いた。


「約束だよ。今日は帰っていいよ。まあ明日はどうなるかわからないけどね」


そういうと、政義さんは私の肩まで伸びる髪の毛に触れた。
< 139 / 258 >

この作品をシェア

pagetop