恋愛優遇は穏便に
「むつみさん、恥ずかしながら電話してしまいました」


「……政宗さん」


「明日からは特別なことがない限り電話ができない環境にいくので」


「声が聞けて安心しました」


「僕もですよ。早くむつみさんを抱きしめたい」


政宗さんの声を聞けて安心する。

この声に包まれながら政宗さんの胸の中におさまりたい。


「3日間、寂しいですけど、むつみさんなら乗り越えてくれると信じていますから」


少し強めの声が耳元に届く。


「乗り越えるって?」


「いろんな意味での試練みたいなものですね。僕もむつみさんも」


ああ、なるほど政宗さんにとって研修は仕事の一環だから、その試練なのか、と納得した。


「この前も約束しましたが、僕がいない間、必ず指輪、つけてくださいね」


「ええ、もちろんです」


「うれしいです。絶対ですよ。これで安心して研修にいけます」


「研修、大変でしょうが気をつけて行ってきてくださいね」


「ありがとうございます。むつみさんも3日間、気をつけて行動してくださいね」


「はい。おやすみなさい」


名残惜しかったけれど、しぶしぶ電話を切る。

政宗さんの声が途切れたとき、狭い部屋が広く感じ、寒さを感じた。
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