恋愛優遇は穏便に
天井に吊るされたシャンデリアから一つのテーブルがぽおっと浮かび上がる。

テーブル脇には2脚の白い椅子が並べられている。

天井までのびる窓ガラスからは港や観覧車、ビルの明かりなどの夜景が一望できた。

政義さんは入ってすぐの席、私は奥の席に座ることになった。


「どう? むつみチャン、気に入った?」


「……素敵な場所ですね」


できればこういうところは政宗さんと一緒に行きたかった。


「浮かない顔してるね。ボクじゃなくて政宗のこと考えてるんだね」


「仕方ないですよ。政宗さんの彼女なんですから」


「へえ。そんな彼女さんがボクとこんな場所でご飯食べようとしてるなんてねえ」


クスクスと笑い、個室に入ってきた店員さんに細長いワインメニューを渡された。


「ワインのご希望は? 赤それとも白?」


「おまかせします」


「じゃあ、思い出の赤にしようかな」


そういって、店員に赤のフルボトルを注文した。

すぐに前菜と赤ワインのボトルを持ってきてくれて、政義さんがテイスティングをした。

赤ワインが空のワイングラスに注がれていった。

政義さんがグラスを持つと、続いて私もグラスを持った。


「おつきあい1日目のボクとむつみチャンに乾杯」


「乾杯」


軽くグラスを持ち上げ、グラスに口付けた。

甘さとともに渋みが口の中に広がった。

食事会で飲んだあの時の赤ワインの味に似ていた。


「こうやっていい料理、いいお酒、むつみチャンに囲まれてボクは幸せだよ」


「政義さん」


「いいでしょ。付き合ってくれるっていったんだし」


そういって、政義さんは前菜を食べ終えると、スープが運ばれてきた。

私も前菜を食べ終え、スープを口にしたときだった。


「むつみチャンに大切な話があるんだ」
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