恋愛優遇は穏便に
魚料理から肉料理に続き、野菜をふんだんにつかった色とりどりな料理に目と胃を奪われながら、しばし料理を堪能した。

季節のフルーツを食べたあとにデザートとコーヒーがやってきた。

きれいに盛られたケーキやソルベを食べていると、すでに食べ終えた政義さんがコーヒー片手に私の食べているところをみていた。


「さて、このあと、どうする? この間の続きでもしに、下の部屋を予約しようか」


「えっ」


やっぱりそうきたか、と思った。

のんきにデザートをたいらげてしまっていた私。

このまま政義さんに抱かれてしまうのか。


「本気にしてた? むつみチャン、やだなあ」


そういって政義さんは笑い飛ばした。


「本気って、政義さん」


「だってあと二日間もあるんだよ。たっぷり満喫しなくっちゃね」


そういって政義さんは言う。

ヒヤヒヤしているのがわかっているのか、私の姿をみてにやけている。


「今日のところは目的が達成できたから。むつみチャンと二人っきりで食事をするってこと」


「ごちそうさまでした。お会計をしないと」


「いいよ。ボクが付き合いたいっていったんだし。むつみチャンは出さなくていいよ。一緒にこんないい席でいい料理を食べることができたんだから」


政義さんは席を立ち、私も同じく席を立つ。


「さて、明日はどうなるかな。楽しみだな」


そういって政義さんは遠慮なく、私の右手をとり、握ると、受付まで手を離さなかった。
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