恋愛優遇は穏便に
日曜日の朝は昨日のワインが効いたのか、ちょっと体がけだるかった。

冷蔵庫にあった適当なものをつまみ、散歩がてらスーパーに買い物へいく。

スーパーの入り口にあったポップは黄色いかぼちゃが飾り付けられて、もうじきハロウィンなのか、と納得しながら、買い物かごを持つ。

店内はカップルや家族連れが多く、一人で買い物をしている私は急に心細くなった。

買い物を終えるとすぐに部屋に戻り、家にあった本を読んで時間をつぶし、仕事に向かう。

日曜ということもあり、高層ビルの周りにはあまり人がいなかった。

政義さんの会社についたときも廊下は少し薄暗くて人影があまりなかった。

会社のドアを開けると、政義さんが優しく渋い声をかけてくれた。


「こんばんは。むつみチャン」


「こんばんは。昨日はごちそうさまでした」


「いいんだよ。昨日は最高な夜だったよ。ありがとう」


「いえ」


そういって、自分の席に腰を下ろし、パソコンを立ち上げる。


「もうちょっと一緒にいたかったけど、惜しいくらいがちょうどいいのかな」


そういって政義さんはパソコン越しに言った。

私は返す言葉もなく黙っていた。

日曜ということもあって仕事に関するメールはなかったので、昨日やり残していた作業の続きをはじめた。


「静かだね」


「え、ええ」


「もしかして昨日のキス、怒ってるんだ」


「突然で、ちょっとずるいな、って」


「だって、窓の外をみてるむつみチャンが愛しく感じたから」


作業の手がとまってしまった。政義さんは目を細めている。

その姿になぜかドキドキと胸がなってしまっている私。

いけないと思い、仕事に気持ちを切り替えた。
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