恋愛優遇は穏便に
「さっきから元気ありませんね? 昨日がんばりすぎちゃったからですかね?」


「い、いいえ。そうじゃないんですけど」


「やっぱりむつみさんはかわいいなあ」


そういうと、指で顎をくいっと上にあげられると、政宗さんからキスをされた。

やさしくて唇から伝わる安心感。このキスなのに。

何を思ったか、私から唇を離した。


「……むつみさん?」


「あ、ごめんなさい」


「疲れてるんですね。さすがにここでゆっくりとはできませんから、新居へ向かいますか」


「……はい」


どうしてキスをやめてしまったんだろう。

政宗さんにはない、刺激的な何かをキスに感じてしまったんだろうか。

政宗さんが私の手を引き、部屋をあとにした。


「どうしたんです? いつもより興奮してるんですか?」


新居につく前に近くのスーパーで買い物をして、二人でご飯を食べる。

部屋の片づけをして、テレビを見てたわいもない話をしていると、政宗さんがぎゅっと抱きしめてくれて、そのままベッドの上に寝かされた。


「え、あっ」


「そんなにがっつかなくても大丈夫です」


「……そうですけど」


「まいりましたね。僕のカラダが一つじゃ足りないですよ」


ドキンとした。脳裏にお兄さんの顔がちらついた。

しまったカラダを調べているところでとまった。


「どうかしました?」


「ちょっと、休みます」


「やる気になったと思えば、突然休むって」


「ごめんなさい……」


「いいですよ。僕もむつみさんの隣でおとなしくしてますから」


政宗さんは時には別の顔をして驚かせてくれるけれど、それ以外はとても優しくて大好きだ。

それなのに、私といったら、どうしてあんな間違いをおかしてしまったんだろう。
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