恋愛優遇は穏便に
木曜日になった。
政宗さんは朝も帰りもやっぱり会えない。
そのかわりに新規の契約が決まったということを朝礼のとき、北野さんから教えてくれた。
昼休み、北野さんが書類を取りにくるかたわら、休憩しにやってきた。
私の顔をみるなり、北野さんは眉をひそめる。
「ねえ、むつみちゃん、やつれてない?」
「え、そうですか?」
「最近、ごはんとってる?」
「え、ええ」
「そういいながら、最近お弁当じゃなくて野菜ジュースとか飲み物ぐらいじゃないの?」
北野さんの視線は私の机の上だった。
確かにお弁当は姿を消し、かわりに野菜ジュースの紙パックが乗っている。
「食欲がわかなくて」
「そう。まだ尾をひいてるのね、五十嵐くんの件」
「え、ええ、まあ」
私は北野さんから紙パックのジュースに視線を変えた。
「ごはん食べなきゃ、干からびちゃうわよ」
「……すみません。心配かけて」
「わかった。月末、ちょっと早いけど、飲み会しましょう!」
「えっ」
びっくりして顔を上げる。
「わたしも話聞いてほしいことがあってね」
そういって、北野さんが涼やかに笑った。
高清水さんがお昼を買いに戻ってきたところで、北野さんが高清水さんに声をかけた。
「麻衣ちゃん、月末の土曜、あけといてくれない?」
「え? どうしてですか?」
「栗林くんとのデートは1日お休みしてもらって、会社の飲み会しようかなって思って」
「いいですよ。もちろん」
「よかった。あとは五十嵐くんだけか」
きっと政宗さんは来てくれないんだろうな。
諦めの空気が事務室の中に漂っている。
北野さんはパソコンを立ち上げ、何やらキーボードをいじっていた。
「……所長が無理ならいいですから」
「うーん、スケジュールみると、五十嵐くん、月末は所長研修が入ってるわね。じゃあ、女子会っていう名目でやりますか」
「そうしましょう。楽しみですよ」
そういって、話がまとまってしまった。
政宗さんは朝も帰りもやっぱり会えない。
そのかわりに新規の契約が決まったということを朝礼のとき、北野さんから教えてくれた。
昼休み、北野さんが書類を取りにくるかたわら、休憩しにやってきた。
私の顔をみるなり、北野さんは眉をひそめる。
「ねえ、むつみちゃん、やつれてない?」
「え、そうですか?」
「最近、ごはんとってる?」
「え、ええ」
「そういいながら、最近お弁当じゃなくて野菜ジュースとか飲み物ぐらいじゃないの?」
北野さんの視線は私の机の上だった。
確かにお弁当は姿を消し、かわりに野菜ジュースの紙パックが乗っている。
「食欲がわかなくて」
「そう。まだ尾をひいてるのね、五十嵐くんの件」
「え、ええ、まあ」
私は北野さんから紙パックのジュースに視線を変えた。
「ごはん食べなきゃ、干からびちゃうわよ」
「……すみません。心配かけて」
「わかった。月末、ちょっと早いけど、飲み会しましょう!」
「えっ」
びっくりして顔を上げる。
「わたしも話聞いてほしいことがあってね」
そういって、北野さんが涼やかに笑った。
高清水さんがお昼を買いに戻ってきたところで、北野さんが高清水さんに声をかけた。
「麻衣ちゃん、月末の土曜、あけといてくれない?」
「え? どうしてですか?」
「栗林くんとのデートは1日お休みしてもらって、会社の飲み会しようかなって思って」
「いいですよ。もちろん」
「よかった。あとは五十嵐くんだけか」
きっと政宗さんは来てくれないんだろうな。
諦めの空気が事務室の中に漂っている。
北野さんはパソコンを立ち上げ、何やらキーボードをいじっていた。
「……所長が無理ならいいですから」
「うーん、スケジュールみると、五十嵐くん、月末は所長研修が入ってるわね。じゃあ、女子会っていう名目でやりますか」
「そうしましょう。楽しみですよ」
そういって、話がまとまってしまった。