恋愛優遇は穏便に
11月の最終週にさしかかる。
政宗さんとは会社の中でも外でも会えずじまいだった。
政宗さんからメールも電話もなかったので、こちら側から連絡をとっても無駄だろうと諦めていた。
政義さんとはICレコーダーの一件があったけれど、それから何もいってこなかった。
仕事に関しては相談してもちゃんと答えは返ってくる。
でもプライベートな話はあれから一度も話に出てこなくなった。
仕事はきっちりこなしているはずなのに、何か物足りないのはどうしてなんだろう。
仕事先と部屋の往復の毎日に慣れてしまったのだろうか。
こんな毎日に満足していないってわかっているはずなのに。
エンジンのかかりにくい月曜からようやく仕事への気力が保たれるようになった火曜日のお昼休みだった。
だいぶ食欲もわいたといっても、野菜ジュースにヨーグルトといった簡単なものしか口に入らなかった。
「森園さん、今週の土曜日なんですけど」
「え、あ、なんでしたっけ」
「飲み会ですよ、飲み会」
「あ、そうでしたね」
「北野さんと相談して二人で勝手に決めちゃったんですけど」
「いいですよ。楽しみにしています」
それ以上会話が進まなかった。
仕事にきているんだから、仕事のことだけ考えようという気持ちになっていたのかもしれない。
それでも午後になって仕事を始めれば、また間違ってますよ、と高清水さんから指摘があり修正を繰り返していた。
定時になり、仕事もひと段落ついたので勤務表を高清水さんに提出する。
「これお願いします……」
提出した瞬間、目の前がぐにゃりと曲がる。
気を抜かないようにしているのに、どうしてか力が入らない。
「ちょ、ちょっと森園さんっ!」
高清水さんの声が遠くに聞こえる。
プツンと何かがはじけ、まっくらやみの中に落とされた、そんな感じだった。
政宗さんとは会社の中でも外でも会えずじまいだった。
政宗さんからメールも電話もなかったので、こちら側から連絡をとっても無駄だろうと諦めていた。
政義さんとはICレコーダーの一件があったけれど、それから何もいってこなかった。
仕事に関しては相談してもちゃんと答えは返ってくる。
でもプライベートな話はあれから一度も話に出てこなくなった。
仕事はきっちりこなしているはずなのに、何か物足りないのはどうしてなんだろう。
仕事先と部屋の往復の毎日に慣れてしまったのだろうか。
こんな毎日に満足していないってわかっているはずなのに。
エンジンのかかりにくい月曜からようやく仕事への気力が保たれるようになった火曜日のお昼休みだった。
だいぶ食欲もわいたといっても、野菜ジュースにヨーグルトといった簡単なものしか口に入らなかった。
「森園さん、今週の土曜日なんですけど」
「え、あ、なんでしたっけ」
「飲み会ですよ、飲み会」
「あ、そうでしたね」
「北野さんと相談して二人で勝手に決めちゃったんですけど」
「いいですよ。楽しみにしています」
それ以上会話が進まなかった。
仕事にきているんだから、仕事のことだけ考えようという気持ちになっていたのかもしれない。
それでも午後になって仕事を始めれば、また間違ってますよ、と高清水さんから指摘があり修正を繰り返していた。
定時になり、仕事もひと段落ついたので勤務表を高清水さんに提出する。
「これお願いします……」
提出した瞬間、目の前がぐにゃりと曲がる。
気を抜かないようにしているのに、どうしてか力が入らない。
「ちょ、ちょっと森園さんっ!」
高清水さんの声が遠くに聞こえる。
プツンと何かがはじけ、まっくらやみの中に落とされた、そんな感じだった。