恋愛優遇は穏便に
12月に入る。

昨年と比較すると少し暖かいと天気予報ではいっているけれど、朝晩は冷えて布団が恋しく感じるようになった。

この時期に二人でベッドに入ったらもっと心地がいいのに、と考えてしまう自分がいるけれど、そんな願いなど今は叶えられるはずもない。

もう少し寒くなったら湯たんぽか何かを雑貨屋で仕入れようかな、と思いながら、冷たい風に吹かれつつ、まだエンジンのかかりにくい月曜の朝、足取りの重いサラリーマンやOLの群れの中に入り、会社へと向かった。

政宗さんの姿はなく、北野さんと高清水さんがすでに仕事の準備をしている。


「お二人とも、飲み会ありがとうございました」


「楽しかったわね。だいぶ元気になったみたいね。よかったわ」


「あたしも楽しかったです」


「じゃあ、新年会もやっちゃおうか。今度は五十嵐くんを誘って」


「そうですね、いいアイディアですよ、北野さん」


朝から二人とも元気だ。

二人の笑顔をみて、気持ちも暖かくなった。

昨日もおかげで少しだけど食事をとれるようになった。

仕事も高清水さんに助けられながらも仕事を進めることができた。


昼休みになって、


「あ、今日はちゃんとお弁当持ってきたんですね」


と、高清水さんが私の机をのぞきこんでいる。


簡単だけど、おにぎりとおかずを入れて持ってきた。


「ちゃんと食事とって働いてもらわないと。年末まで頑張れないですよ」


買ってきた手巻き寿司を食べながら、高清水さんが言ってくれた。

言ってもらえて心強かった。

今あるのはこの会社のおかげだ。

私はお弁当を食べ終えると、席をはずし、ロッカー室へと向かった。
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