恋愛優遇は穏便に
スマホを手にして、あるところへ電話をかけた。


「森園です。郡司さんはいらっしゃいますか」


しばらく保留音が鳴り響き待っていると、保留音が途切れた。


「郡司です。お疲れ様です」


「今、お時間よろしいでしょうか」


「はい。どうかされましたか?」


「派遣のことでお願いがあるんですが」


「どういった内容でしょうか」


「以前、郡司さんがリソースワークグループ統括マーケティング・マネージメント室の社員の件、お話されていたじゃないですか」


「はい」


「その件でご相談がありまして」


「わかりました。その件に関して時間つくりましょうか」


「いえ、今ここで返事をさせてもらっても構いませんか」


「構いませんよ」


「社員の件なんですが……」


自分に見合う結果を郡司さんに話した。


「それで森園さんがよければいいと思いますが。五十嵐室長にもその旨、伝えておきます」


「よろしくお願いします」


電話を切る。

ふっと重い荷物から解放された、そんな心持ちがした。

事務室に戻ると、高清水さんがお昼を食べ終えて仕事の準備をしていた。


「森園さん、何かすっきりした顔してますけど」


「答えがみつかったんで、それでかもしれません」


「答え、ですか?」


高清水さんに言えないのが残念だ。

でも私の答えはそれでよかったんだと納得ができるものだった。

事態がどう変化しようとも、前に進むしかないから。
< 213 / 258 >

この作品をシェア

pagetop